こんな方におすすめ
- 南仏の自然を満喫しながら、歴史も同時に散策したい
- 本場である香水の都で、オリジナル香水をぜひ作ってみたい
- プロヴァンスの魅力がギュッとつまった花畑で花摘み体験をしたい
南仏に行くなら、一度は訪れてほしい!とオススメするのが香水作りと香水工場の見学です。
車でニースから1時間、カンヌから30分の場所にあり、点在する観光スポットのなかでも交通の便がいいグラース。
香水の都として、耳にした方もいらっしゃるでしょう。
南仏では、歴史的建造物や都市を訪ねる観光スタイルが圧倒的に多いのですが、このグラースではフランスの文化と伝統、自然を一緒に満喫でき、しかも世界にひとつだけのお土産付き♪というレアな体験ができます。
香水というと、ハイブランドのイメージで『なんだか堅苦しいそう』『難しそう』と感じるかもしれません。
でも、まったく心配いりません。
南仏の自然のなかでまったりしながら、嗅覚で自分の好きな香りを組み合わせて楽しむ感覚です。
この記事では、香水の都、グラースを満喫するスポットを私の体験談付きで紹介します。
あなたに合ったスタイルで興味のあるスポットを組み合わせてくださいね。
目次
【香水の都グラース】17世紀から継がれる香水技術が無形文化遺産へ
2018年ユネスコの無形文化遺産として、グラースの植物栽培と調香技術が登録されました。
グラースの香水の歴史は、18世紀にさかのぼります。
当時、フランスの嫁入りでグラースに立ち寄ったイタリアのカトリーヌ・ド・メディチ。彼女が香料の栽培に適したグラースの土地柄に着目し、彼女に随行した調香師によって香料の製造が開発されます。
一方で、グラースでは古くからなめし皮産業が栄えていました。質のいい皮手袋を生産していたものの、皮特有の香りで評判はいまいちです。そこで、香料でこの皮の香りをマスキングした「香り付き皮手袋」が生みだされることに。この皮手袋はフランスを席巻するほど大流行します。
このヒットをきっかけに、グラースは香料産業の中心地として飛躍的に発達していきました。その後、皮産業は職人の移動により衰退するものの、香料産業はそのまま残り、植物栽培のノウハウと香料の技術が代々受け継がれていきます。
20世紀以降は、合成香料の台頭や海外資本の流入により、ニーズの変化に応えながら天然香料の生産地として伝統を守り続けているグラース。現在でも、フランスの香料の3分の2がこのグラースで生産され、その技術とともに香料用の花畑や香水ブランドがさまざまな職人や調香師を生み出しています。
観光地ニースやカンヌから近い!香水作りと工場見学3選
グラースで香水作りと香水工場の見学を体験できるのは、老舗の香水ブランド、「モリナール」、「フラゴナール」、「ガリマール」です。
レンタカーやツアーでの移動のほうが便利で、カンヌから30分、ニースから1時間ほどで着きます。
公共交通機関の場合は、バスが便利。ただし、停留所から歩いたり乗り換えの必要があるので、余裕をもって行動しましょう。各ブランドの所在地は点在していますが、車で15分ぐらい離れているぐらいなので、フラゴナール、ガリマール、モリナールの工場見学は一日で体験も可能です。ただし、調香体験もしたいのであれば、90~180分コースもあるので、午前と午後に分けてゆっくり回りましょう。
1.フラゴナール(Fragonard)
1926年に創業し、ブランド名は地元の画家、ジャン オノール フラゴナールにちなんで名づけられました。現在、2代目の娘である2姉妹によって受け継がれています。パリ、エズ、グラースの5拠点で、工場見学や香水作り体験ほか、グラースでは香水やプロヴァンス民族衣装の博物館、画家ジャン オノール フラゴナールの美術館もあり、地元の歴史を知る施設が充実しています。グラースの中心地に近いのでほとんどの施設は徒歩でぐるっと回れます。代表的香水は、ベルドゥニュイ、ディアマンテ、エトワールなど。
フラゴナールの特徴
- 3ブランドのなかでは比較的新しいブランドである
- 地域文化と香水文化を総合的に知る施設が充実している
- ほとんどの施設が中心街に集まっているので、アクセスが便利
博物館&美術館(予約不要)
入場無料。フランス語、英語ガイド付き30分案内ツアーあり。無料ガイドツアーのグループ予約受付も可。
開館時間は以下の通りです。
- パフューム ミュージアム(Le musée du parfum)9:00~18:00/年中無休
- プロヴァンス風コスチューム&ジュエリー ミュージアム(Musee Provancal du Costume et du Bijou)10:00~13:00 14:00~18:30/日曜・月曜休み ※ヒストリック ファクトリーに隣接した建物
- フラゴナール ミュージアム(Musée Fragonard)10:00~18:00/11月と1月の日曜日、2月の第一日曜日は休み
工場見学(予約不要/グループツアーは事前予約要)
- ヒストリック ファクトリー(L'usine historique)
19世紀に建てられた香水工場をそのまま現存しています。昔の香水や石鹸の製造(浸軟、濾過、調整)過程や研究室、時間帯により実際の製造シーンのデモンストレーションも見学できます。
開館時間:9:00~19:00(最終受付18:00)/年中無休
- フラワー ファクトリー(La fabrique des fleurs)
1986年に新しい香水工場で製造開始し、現在のパッケージや研究室の様子を見学できます。展示の一部に、昔の香料の抽出方法(アンフラージュやマセレーション展示物があり、現在にいたる製造過程が分かります。
開館時間:9:00~19:00(最終受付18:00)/年中無休 ただし、13:00~14:00は一時閉館(11月~2月)
香水作り体験(予約要 69ユーロ)
シトラス、アロマティック、オレンジブラッサムをベースにしたオーデコロンの調香を45分ほど体験します。100mlボトルにポーチ付き。英語、フランス語のみ対応可。
場所:ヒストリック ファクトリーまたはフラワー ファクトリー
時間:予約時に確認
交通アクセス&お問い合わせ
交通アクセス:グラース駅または隣接のバスターミナルから徒歩で20分ほど。バスの場合、10分ほど。ただし、フラワー ファクトリーは、バスターミナルよりカンヌ駅行きバスに乗って15分ほど。
公式サイト: https://www.fragonard.com
ツアー予約:tourisme@fragonard.com(博物館や工場見学など全て共通)
香水作り体験:workshop@fragonard.com
ひとこと体験談
ヒストリック ファクトリーでは、工場見学の際に、ラベンダーが一面に咲いた中庭を通り、ラベンダーの蒸留としてつかわれていた実物見本に遭遇。ラベンダーの香りが辺りに漂う印象的な光景でした。石鹸の製造デモンストレーションやラボにも立ち寄ることができました。フラワー ファクトリーは夕方だったためか、製造デモンストレーションの人もいない時間帯でした。地下には光が差し込むビビッドな売り場と併設したスペースと香水作り体験スペースがありました。
時間がなければ、ヒストリック ファクトリーをオススメします。
※フラゴナールの販売店はカンヌやニース市街、ニース空港(免税店エリア)内にもあります。
2.ガリマール(Galimard)
1747年に創業したフランスで最も歴史ある老舗ブランドの1つ。その歴史はルイ15世の時代までさかのぼります。創業者ジャン ド ガリマールから、グラースでジャスミンやオレンジブラッサムを育てていたルー一家に引き継がれ、グラースの香水産業をけん引するパイオニアとして有名です。中心地から少し離れているので、レンタカーかツアーがオススメです。公共交通機関ならば、グラースのバスターミナルでカンヌ方面のバスに乗って15分ほどかかります。
ガリマールの特徴
- フランス国内でも300年以上もの歴史がある圧倒的な老舗香水ブランド
- 香水作り体験のパイオニアであり、豊富なプログラムを提供している
- 香水作り体験では、日本語で対応できるデモンストレーターもいる
工場見学(グループは予約要)
昔のさまざまな香料の抽出方法を当時の機械や展示品、調香師の役割を製造過程を通して学べます。また、グラースの香料産業の歴史やガリマールの香料業界においての歴史的な役割など幅広く知識を深められます。
場所:ファクトリー ミュージアム(Usine-Musee)
開館時間:9:00~18:00(6月~8月は18:30まで、10月~3月は9:00~12:00、14:00~18:00)/年中無休 閉館時間45分前まで受付
対応言語:フランス語、英語、他ヨーロッパ言語、ロシア語、中国語(日本語なし)のガイド付きツアー
香水作り体験(予約要 53ユーロ~)
香水作り体験を始めたのが90年代で先駆者的存在。個人、グループ、法人グループ向けにワークショップ形式やセミナー形式でも受け付け、香水作りのさまざまなプログラムを提供しています。8才以上で参加可。基本プログラムは、基本ノート(香調)の説明がなされ、ラストノート、ミドルノート、トップノートから3つずつ好きな香料を選んで調香します。作った後は、自分のレシピが保存され、香水やボディローション、シャワージェルとしていつでもオーダーできます。
場所:フレグランス アトリエ(Atelier de creation de parfum)、またはファクトリー ミュージアム(ガイドツアー後に参加できるプログラム)
時間:プログラムによって確認要(9:30~16:00までの間が多い)
対応言語:フランス語、英語、イタリア語、ドイツ語、ロシア語、中国語
※プログラムによってはリクエスト言語(日本語)によって対応可
交通アクセス&お問い合わせ
交通アクセス:ファクトリー ミュージアム /グラース駅に隣接のバスターミナルからカンヌ駅行きバスに乗って20分ほど。
フレグランス アトリエ/グラース駅に隣接のバスターミナルからカンヌ駅行きバスに乗って15分ほど乗り、環状交差点より徒歩2分
公式サイト:https://www.galimard.com
ツアー予約および香水作り体験: info@galimard.com
ひとこと体験談
ファクトリー ミュージアムでは、電光掲示板で案内時間と言語が表示され、待ち時間がひとめで分かります。
フランス語で案内されたものの、案内係のイタリア語アクセントが強くて理解しづらかったのが残念でした。工場内は木造造りで当時の雰囲気が伝わり、老舗ブランドの歴史を肌で感じます。
販売店と香水作りスペースは地下にあり、カウンターや体験スペースなどアンティークな造りがおしゃれです。カウンターでグラスを傾けるような雰囲気のなか、熱心に指導に耳を傾けている体験者たちが印象的でした。
香水はクラシックな香りが多く、レザーなど大人の上品さが特徴的な香りです。
3.モリナール(Molinard)
1849年創業。5世代に渡って受け継がれ、「リビングヘリテージカンパニー」としてフランスの伝統を象徴する無形文化財起業、EPVに認定されています。代々引き継がれる職人技はもとより、地域に根差した環境や観光の取り組みにも熱心です。代表的な香水は、オリエンタルノートの始まりとされるハバニタ。
モリナールの特徴
- フランスの伝統を象徴する無形文化財起業、EPVに認定される
- 地域活性化に力を入れており、オーガニック原料と環境保護を大切にしている
- オリエンタルノートの始まりとされる名香ハバニタを生み出した歴史あるブランド
工場見学(予約不要)
原材料、香料抽出方法を展示した蒸留所から調香師や石鹸職人の研究室、マセレーションタンクまで香水ができる過程を見学します。他にもレネ・ラリックやバカラのフラコン(香水瓶)の展示などもあり、歴史的な工芸品も展示された博物館になっています。
開館時間:9:00~18:00(6月~8月は18:30まで、10月~3月は9:00~12:00、14:00~18:00)/年中無休 閉館時間45分前まで受付
場所:メゾン モリナール(Parfumerie Molinard-Bastide historique&Musee)
時間:プログラムによって確認要(10:00~16:00の間)
対応言語:フランス語、英語のガイド付きツアー
香水作り体験(予約要 30ユーロ~)
12才以上から参加可。4~8才用の20分ほどの簡易な香水作りもできるので、お子様も楽しめます。20~120分までの香水作りワークショップ、チームで香水作りするワークショップなど、さまざまなスタイルがあります。
場所:メゾン モリナール(Parfumerie Molinard-Bastide historique&Musee)
対応言語:フランス語、英語、スペイン語、イタリア語、ドイツ語、ポルトガル語
交通アクセス&お問い合わせ
交通アクセス:グラース駅または隣接のバスターミナルから徒歩で15分ほど。バスの場合、10分ほど。
公式サイト:https://www.molinard.com
個人(香水作り)予約:ateliers@molinard.fr
グループ予約:Tourisme@molinard.fr(博物館および香水作り体験ともに)
※未体験なので、情報のみになります。
英語が分からなくても問題ない香水作り
ここまで読んでいる方の中には、こんな疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
『ちょっと興味あるけど、英語もよく分からないのに内容が理解できるか分からない』
『いろいろ覚えなきゃいけないみたいで、難しそう』
でも、まったく問題ありません。
私の友人が新婚旅行で南仏を訪れた際にガリマールで調香体験しました。フランス語はもとより、英語も学校で勉強したぐらいで分かるか不安だったけれども、とにかく自分の香水を作ってみたかったそうです。実際やってみると、香りを確かめながら、自分のペースで進められるので、自分の香水を初めて作った楽しさと作った香水がハネムーンのステキな記念品になったと喜んでいました。
それでも、分からないまま作るのも不安だな、と思う方もいるかもしれません。
そんな方には、ツアーやグループ参加がおススメです。日本語が話せるデモンストレーターの手配や日本語ガイド付きツアーもあります。
安心して自分だけのステキな香水作りを楽しみましょう。
さらに満喫♪花畑の見学と花摘み体験できるオススメ2選
グラースの中心地からもう少し足を延ばしましょう。季節によってバラ(セントフォーリア)。ジャスミンなど花畑の見学や花摘み体験ができます。
1.ドメーヌ ド マノン(Domain de Manon)
ディオールが所有する畑を見学、歴史から栽培方法、花摘み体験、バラやジャスミンの砂糖漬けの試食ができます。花摘み体験は、開花時期だけ開催されます。
ガイドツアー
6ユーロ/人 所要時間:1時間 ※グループは予約要
対応言語:英語かフランス語
花摘み時期
バラ(5月初旬~6月中旬)個人見学の場合は火曜9時受付
ジャスミン(8月初旬~10月中旬)個人見学の場合は火曜9時受付
交通アクセス&お問い合わせ
アクセス:グラース中心街より車で20分。バスは始発が9:30のため、レンタカーかツアーが便利
公式サイト:http://domainedemanongrasse.com/
予約&問い合わせ:domainedemanon@yahoo.fr
2.ドメーヌ ドゥ マ ド ロリヴィーヌ(Domaine du Mas de l'Olivine)
所有する畑を見学しながらさまざまな香料植物の栽培方法を知ります。花摘み体験、ジャムやキャンディー、バスボムづくりのワークショップ(予約要)も楽しめます。花摘み体験は、開花時期だけ開催されます。
ガイドツアー
5ユーロ/人(12才未満は無料) 所要時間:1時間
※オフシーズンやオンシーズンでも決まった時間帯以外は予約要
※オンシーズン(7~8月) 月曜日、火曜日、水曜日の午後2時30分のみ予約なしで受付
- 毎週月曜日(7月と8月):見学とデモンストレーション
- 毎週水曜日(7月と8月):15:30に花を使ったワークショップを一般公開(予約制)
花摘み体験は、開花時期によるため予約時に確認してください。
交通アクセス&お問い合わせ
どうぞ、花の香りに包まれながら、あなただけの特別な旅になりますように
世界に1つの香りとともに